2018/08/19
マタニティケア
妊娠初期のはり治療は問題ないでしょうか?
1、鍼灸をしたがために流産につながる可能性があるのか。
2、鍼灸をすることで流産の予防になるのか。
などのご質問を良く頂きます。
まず一つ目についてです。
一番多い妊娠初期の流産の原因は受精卵の染色体異常です。
この場合は着床して、しばらくお腹の中で育つことができたとしても、最終的にはほぼ流産となってしまいます。
このように、受精卵の染色体の異常が原因の場合、はりで流産の防止をすることはできません。
流産の原因は、お母さんの行動が原因とは関係のないことがほとんどなのですが、冷えや食、生活習慣、ホルモンバランスの乱れが引き金となることもあります。
鍼灸治療の正しい知識を持って、適切な治療を行えば妊娠初期の鍼灸は安全です。
次に二つ目の「鍼灸で流産を防止できるか」についてです。
母体側に、必然的に流産を起こしてしまう原因がある場合も流産を防止する事が難しいように思います。
また一つ目で述べた染色体異常の場合は鍼灸で防止できない流産です。
しかしながら、それ以外の原因と考えられる、冷えや食、生活習慣の改善、ホルモンバランスの乱れからくる流産に関しては有効だと考えられます。
はりをすると副交感神経が優位になります。
例えばお母さんがストレスを受けると、交感神経が優位になります。
交感神経が優位になると血管を収縮させてしまうため血流が悪くなります。
すると子宮の血流が悪くなります。
これは、自身の生体機能を維持するために、胎児に与えるはずの栄養を低下させ、内臓機能へ栄養を最優先で届けるためです。
うまく鍼灸を活用して副交感神経を高めることにより、バランスよく栄養が行き届けることが出来るようになります。
また、東洋医学的に考えても血(けつ)が足りない方は流産しやすく、子宮に血が足りないような状態では赤ちゃんに栄養がしっかり届かず、最悪の結果を招く事があります。
この様な場合は、不育症などの必然的に流産をしてしまう状態とは違い、現時点での身体の土台が流産しやすい状態なだけなのです。
例えばよくぎっくり腰を起こす人は、ぎっくり腰を起こしやすい身体の土台があるのです。
東洋医学ではこの身体の土台を流産しにくい土台に変え(身体づくり)しっかりさせていく事を目的としています。